電気主任技術者試験講座
エミッタ接地増幅回路のバイアス方式

エミッタ接地増幅回路の動作点を設定する為には、直流電源が必要です。この時に流した直流電源をバイアスといい、流れる電流をバイアス電流といいます。バイアスをかける方式には以下のものがあります。

固定バイアス回路

バイアス抵抗による回路損失が少ない
安定度はあまりよくない

自己バイアス回路

安定度がよい
何らかの原因で、コレクタ電流Icが増加すると、抵抗Rcの電圧降下が大きくなります。よってエミッタ-コレクタ電圧VCEが減少します。そのためベース電流Iが減少し、コレクタ電流Icの増加を抑えることができます。

電流帰還バイアス回路

R,Rで電力消費あり
安定度が非常によい

図のトランジスタ増幅回路において、Vcc=9[V]、Ic=2[mA]であるとき、バイアス抵抗RB[kΩ]の値として、正しいのは次のうちどれか。ただし、直流電流増幅率hfe=100、VBE=0.6[V]とする。


(1) 360  (2) 420  (3) 510  (4) 630  (5) 740

 

解説


答え (2)

図1、図2及び図3は、トランジスタ増幅器のバイアス回路を示す。次の(a)及び(b)に答えよ。
ただし、VCCは電源電圧、Vはベース電圧、Iはベース電流、ICはコレクタ電流、Iはエミッタ電流、R、R、R及びRは抵抗を示す。

(a)次の式1、式2及び式3は、図1、図2及び図3のいずれかの回路のベース・エミッタ間の電圧VBEを示す。
 1 --- VBE=V-I 
 2 --- VBE=VCC-I
 3 --- VBE=VCC-IR-I
上記の式と図を正しく組み合わせたものは次のうちどれか。

式1 式2 式3
(1) 図1 図2 図3
(2) 図2 図3 図1
(3) 図3 図1 図2
(4) 図1 図3 図2
(5) 図3 図2 図1

(b)次の文章1、2及び3は、それぞれのバイアス回路における周囲温度の変化とその増加特性について述べたものである。
1.温度上昇によりIが増加すると、増加特性が安定しないバイアス回路の図は(ア)である。
2.温度上昇によりIが増加すると、Iも増加する。他方、Vは一定であるからVBEが減少するので、増加特性が最も安定するバイアス回路は図の(イ)である。
3.(ウ)のバイアス回路は、温度上昇によりIが増加すると、Rの電圧降下でコレクタ・エミッタ間の電圧VCEが抑えられ、増幅特性が安定する。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

解説
キルヒホッフの法則を適用すると

図1は VBE=VCCーIBR
図2は VBE=VCCーIBRーICRC
図3は VBE=VBーIERE

固定バイアス回路ははIBが増加すると、安定しない
自己バイアス回路はIBが増加すると、RCの電圧降下でVCEが抑えられ増加特性が安定する。
電流帰還バイアス回路はIBが増加すると、IEも増加する。そしてVBEが減少して増加特性が安定する。

答え a-(3)、b−(4)

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