電気主任技術者試験講座 利得の計算方法

利得とは、入力と出力の比のことです。ゲインとも呼ばれます。利得は10を底とする常用対数を使って表現し、単位にデシベル[dB]を使います。
ある基準値Aに対するBのデシベル値は

となります。

トランジスタなどの増幅器においては、電力利得として表現し、入力側をP1、出力側をP2とすれば、電力利得は
電力利得 = 
となります。

尚、電圧利得及び電流利得は
電圧利得 = 
電流利得 = 

logの計算方法には次の法則があります。

log102=0.3 log103=0.48として、 を計算すると
= log102 + log1010 - log103
= 0.3 + 2 - 0.48 = 1.82

図のようなトランジスタ増幅回路において、入力側の電圧vi=0.2[V]、電流ii=40[μA]であるとき、出力側の電圧vo=5[V]、電流io=4[mA]であった。この増幅回路の電力利得[dB]の値として、正しいのは次のうちどれか。ただし、log102=0.30、log103=0.477、log105=0.699とする。
(1) 16  (2) 25  (3) 34  (4) 43  (5) 52

 

解説
入力側の電力をPi、出力側の電力をPoとすると
Pi = vi・ii = 0.2×40×10-6 = 8×10-6
Po = vo・io = 5×4×10-3 = 20×10-3

電力利得 =
log10(5×10)=10log10+20=20log10(10/2)+20
20(log1010-log102)+20=20(1-0.3)+20=34[dB]

答え (3)

次のようなブロック図で示す2つの増幅器を継続接続した回路があり、増幅器1の電圧増幅度は10である。いま入力電圧V1の値として0.4[mV]の信号を加えたとき、出力電圧VOの値は0.4[V]であった。増幅器2の電圧利得[dB]の値として、正しいのは次のうちどれか。


(1) 10  (2) 20  (3) 40  (4) 50  (5) 60

解説
増幅器1の出力電圧をVとすると
/V = 10
 = 10×0.4×10-3 = 0.4×10-2[V]
増幅器2の電圧利得は


答え (3)

図のようなトランジスタ増幅器がある。次の(a)及び(b)に答よ。

(a) 次の文章はトランジスタ増幅器について述べたものである。
図の回路は( ア )形のトランジスタの( イ )を接地した増幅回路を、交流信号に注目して示している。入力電圧と出力電圧の瞬時値をそれぞれvi[V]及びvo[V]とすると、この回路ではviに対してvoは、位相が( ウ )ずれる。このときの入力電圧と出力電圧の実効値をそれぞれVi[V]及びVo[V]とすると、電圧利得は( エ )[dB]の式で表される。
上記の記述の空欄箇所( ア )、( イ )、( ウ )及び( エ )に記入する語句として、正しいものを組合せたのは次のうちどれか。

 
( ア )
( イ )
( ウ )
( エ )
(1)
npn
エミッタ
180°
20log(Vo/Vi)
(2)
pnp
コレクタ
180°
20log(Vi/Vo)
(3)
npn
エミッタ
90°
20log(Vo/Vi)
(4)
pnp
コレクタ
90°
20log(Vi/Vo)
(5)
npn
エミッタ
90°
10log(Vo/Vi)

(b) 図示された増幅回路の抵抗がRa=25[kΩ]で、入力電圧を加えたとき、この回路の電圧利得[dB]の値として、最も近いのは次のうちどれか。
ただし、トランジスタの電流増幅率ffe=120、ベース-エミッタ間の抵抗hie=2[kΩ]、log102=0.301、log103=0.477とする。

(1) 2800  (2) 1120  (3) 832  (4) 102  (5) 62

解説
入力電流をi、出力電流をiとしたときの等価回路は


この回路の関係式は
i
=i・hfe
Vo= i・Rc=i・hfe・Rc=・hfe・Rc


よって電圧利得は
20log101200=20log10(102+2+3)=61.85

答え (5)

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