電気主任技術者試験講座 半導体素子

ダイオードは、電流を一定方向にのみ流すという、整流作用を持った半導体素子です。ダイオードにはアノード(陽極)とカソード(陰極)の二つの端子をもち、アノードからカソードへのみ、電流を流します。
ダイオードはp型半導体とn型半導体が接合された構造をしており、p型側がアノード、n型側がカソードとなります。尚、アノード側に正電圧、カソード側に負電圧をかけることを、順バイアスをかけるといいます。
ダイオードに順バイアスをかけると、アノード側には電子を、カソード側には正孔を注入する形となります。するとキャリアは過剰となり、空乏層がなくなりキャリアは接合面付近で次々と結びつきます。これを全体的にみると、電流がアノードからカソードへ流れることになります。
このときの電流は、電圧に比例して大きくなります。又、電子と正孔の結合の際、エネルギーが発生し、発光ダイオードはこのエネルギーを光エネルギーへと変換して発行します。

発光ダイオードは、順方向バイアスをかけたときに発光する半導体素子です。LEDとも呼ばれます。特徴としては、超寿命、低発熱、低電力、高輝度の発光が上げられ、表示用電源や光通信の送信部の光源に用いられています。
発光は、順方向バイアスをかけた際、PN接合部でエレクトロルミネセンス(EL)効果で発光します。電圧降下は一般的に高く、2V程あります。

サイリスタは、アノード、カソード、ゲートの3端子を持ち、ゲートからカソードへゲート電流を流すことにより、アノード−カソード間を導通させることができる半導体素子です。PNPNといった4種の構造をしており、一度導通状態になると、導通を停止させるためには、アノード−カソード間の電流を、一定値以下にする必要があります。

発光ダイオード(LED)に関する次の記述のうち、誤っているのはどれか。

(1) 主として表示用光源及び光通信の送信部の光源として利用されている。
(2) 表示用として利用される場合、表示用電球より消費電力が小さく長寿命である。
(3) ひ化ガリウム(GaAs)、りん化ガリウム(GaP)等を用いた半導体接合部を利用する。
(4) 電流を順方向に流した場合、pn接合部が発光する
(5) 発光ダイオードの順方向の電圧降下は、一般に0.2[V]程度である。

答え (5)

半導体素子に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。

(1) サイリスタは、p形半導体とn形半導体の4層構造を基本とした素子である。
(2) 可変容量ダイオードは、加えている逆方向電圧を変化させると静電容量が変化する。
(3) 演算増幅器の出力インピーダンスは、極めて小さい。
(4) pチャネルMOSFETの電流は、ドレーンからソースに流れる。
(5) ホトダイオードは、光が照射されると、p側に正電荷、n側に負電荷が生じる素子である。

答え (4)

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