電気主任技術者-電験3種の試験と実務 >> 有効電力と無効電力
有効電力と有効電流とは
力率のページで述べた通り、抵抗Rに流れる電流IRは電圧Vと同相であります。この抵抗Rに流れる電流IRのように、電気エネルギーの消費に伴う電流を有効電流といい、(電圧)×(電圧と同相分の電流)を有効電力といいます。
これを波形で図示すると図1のようになり、斜線部分の面積は電力となり、電圧と電流の実効値を掛けたものに等しくなります。尚、単に電力や消費電力という場合は有効電力のことを言います。
無効電力と無効電流とは
誘導リアクタンスXLのコイルに流れる電流ILは、電圧より90°位相の遅れた電流であり、容量リアクタンスXcのコンデンサに流れる電流Icは、電圧より90°位相の進んだ電流であると力率のページで説明しました。では、このコイルやコンデンサに電流が流れると電力どのようになるのかは図2のようになります。
ab間での電力はV×Iがプラスであるので、エネルギーを蓄えています。そしてbc間ではV×Iがマイナスとなり、電力エネルギーを放出し電源に返しています。そしてcd間では再びプラスとなりde間ではマイナスとなります。このようにエネルギーは一定周期で電源間を交互に移動する形となり、エネルギーの消費がありません。
このように、電気エネルギーの消費に伴わない電流を無効電流といい、(電圧)×(電圧と90°位相差のある電流)を無効電力といいます。
有効電力、無効電力、皮相電力の計算方法
電気的負荷は蛍光灯や電熱器、モーターなどさまざまなものがありますが、これらの負荷は抵抗R、インダクタンスL、静電容量Cの合成回路として見る事ができます。図3-aのような交流回路におけるのベクトル図はbのようになり
入力電流 I=√(IR)2+(IL-IC)2 [A]
有効電流 IR=Icosθ [A]
無効電流 IL-IC=Isinθ [A]
となり、有効電力、無効電力、皮相電力は
有効電力P=VIcosθ [W]
無効電力Q=VIsinθ [Var]
皮相電力S=VI [VA]
と、単相交流回路は求めることができます。尚、入力電流Iを皮相電流といい、電圧と皮相電流の積を見かけの電力という意味で、皮相電力と言い単位には[VA]を用います。
尚、三相の場合は、
有効電力P=√3VIcosθ [W]
無効電力Q=√3VIsinθ [Var]
皮相電力S=√3VI [VA]
で、求める事ができます。
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