電気主任技術者-電験3種の試験と実務 >> 感電による人体への影響
感電による人体への影響
電気を扱う者にとって、感電による被害は非常に気をつけなければいけません。作業や点検中は活線に近づくことが多く、又活線で作業をしなければいけない場合も多々あります。しかし、活線と分かっていれば、細心の注意を払うので事故を起こすことも少ないです。最も気をつけなければいけないのは、思い込みによる事故です。例えば、ブレーカーを落としていざ作業を開始すれば充電されていたなんてことは多々あります。間違って違う回路のブレーカーを落としていたり、負荷側からの回り込みによって電圧が帰ってきていたなんて事もありました。検電はきちんと行いましょう。
又、絶縁破壊などによって発生する接触電圧による感電にも注意しなければなりません。接地してあれば大丈夫と思われがちですが、接地抵抗が高い場合は決して安全ではありません。漏電を検出を確実に行い、回路から切り離すなどの処置が必要です。
TASCO(タスコ) 高圧交・直両用検電器(伸縮式)TA457AE
活線に直接接触した場合の感電電流
活線に直接接触した場合、電流は人体を通って大地に流れます。では、その時に流れる電流はいくらぐらいになるのでしょうか。電気回路では電圧と抵抗値がわかれば電流を求めることができます。実は人体にも電気抵抗があり、ひふ表面の乾燥度や湿度などにも影響されますが1000~3000Ω程が人体の電気抵抗値です。平均値として2000Ωとし、200Vの活線に触れた場合の人体に流れる電流値は
i=220/2000=110mA
110mAの電流が人体に流れることになります。漏電ブレーカなどは、30mA以上の漏れ電流が検出されるとしゃ断される構造になっていますが、この30mAという数値は、人体が耐えうることができる最大電流値です。その電流の3倍近くも流れるのは、相当危険であると予想されます。
ちなみに、どれくらいの電流が流れると感電するかをまとめてみました。
- ■ 0~0.5mA
- 電流を感知できない
- ■ 0.5~5mA
- ビリビリと痙攣を起こさない程度で、指や腕などに痛みを感じる
- ■ 5~30mA
- 痙攣を起こし、接触状態から離れることが困難になる。呼吸困難や血圧上昇が起こる
- ■ 30~50mA
- 強い痙攣を起こし、失神や血圧上昇をまねく。長時間の感電は死亡するケースもある。
- ■ 50mA以上
- 強烈なショックを受け、心臓停止や火傷により死亡する可能性が極めて高くなる。
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