力率とは?:電気主任技術者-電験3種の試験と実務

電気主任技術者-電験3種の試験と実務 >> 力率とは?

    

力率とは

力率とは、電圧と電流の位相差θ[rad]のcosθを力率といいます。一般的には電気設備は遅れ力率となります。遅れ力率とは、電圧より電流が遅れている状態です。

力率が遅れる理由

電気的負荷は蛍光灯や電熱器、モーターなどさまざまなものがありますが、これらの負荷は抵抗R、インダクタンスL、静電容量Cの合成回路として見る事ができます。そこで、R・L・Cに交流電圧V=√2Vsinωt[V]を加えた場合の電気的な性質を調べて見ます。

■抵抗Rだけの場合の電流
R=V/R [A]
となり、電圧と電流は同相となります。
■インダクタンスLだけの場合の電流
インダクタンスLのコイルに正弦波電源を加えると、電磁誘導作用により、電流の流れを妨げるような方向で、逆起電力が発生します。この時の磁束をφとすると、逆起電力 VLは、
VL=-Δφ/Δt=-LΔIL/Δt
となります。つまり VLはILの時間的変化の割合に比例する事になり、ILの変化が最大の時はVLは最大に、ILの変化が零の時はVLも零となります。これを図示すると図2のようになり、VLはILより90°位相の遅れた正弦波電圧となります。
そして、このコイルに電流を流し続ける為には、VLと反対と位相の正弦波電圧Vが必要となります。VはILよりも90°位相の進んだ正弦波電圧です。つまり、Iは電源電圧Vより90°位相の遅れた正弦波電流となります。

■コンデンサCだけの場合の電流
コンデンサCには、電荷[q]を蓄えたり、放出したりする働きがあり、流れる電流はCに加わる電圧の時間的変化の割合に比例します。式で書くと
C=Δq/Δt=CΔV/Δt
となります。図のようにvが零から上昇しようとする時は、時間的変化の割合は最大値となり、 ICも最大となります。又、正弦波Vが最大値の時は、時間的変化の割合は零となり、 ICも零となります。
このように調べると、ICは電源電圧Vより90°位相の進んだ正弦波電流となります。

    

スポンサーリンク

関連ページ

高圧機器、電気主任技術者の実務に役立つ基礎知識

■高圧機器の基礎知識
  受変電設備とは
  単線結線図
  高圧開閉器・しゃ断器
  変圧器
  進相コンデンサと直列リアクトル
  電流や電圧の測定機器
  保護継電器
  避雷器
■電気主任技術者の実務に役立つ基礎知識
  契約電力と電気料金制度
  力率とは
  有効電力と無効電力
  力率改善のメリット
  電圧降下と電圧変動
  絶縁電線の許容電流
  配電電圧と配電方式
  短絡と短絡電流の遮断の仕方
  地絡と地絡を検出する方法
  接地はなぜ必要か?
  感電による人体への影響
  自動制御と計装入門

↑ PAGE TOP